2016年6月11日土曜日

ソーシャルゲームに騙されてしまう若者たち

 最近私の周りでこういう話を聞く。

「デレステで2万ガチャ引いて欲しいのが出なかった」
「ミリアサで30万使って欲しいのが出なかった」

 何を言っているのか分からなかった。
 自分の友人や知り合いが続々とこういう愚痴を言い始めたのだ。

 ソーシャルゲームにガチャポンという課金要素があって、それに何万円もかけて欲しいアイテムを手に入れる、というのは分かっていたんだけど。
 何万円も使って「手に入らなかった」という意見をあまりにも多く聞いて愕然とした。

 私は30歳だが、我々が子供のころ(20年くらい前)は、ゲームを買うと言っても1万円くらいで済んだものだ。
 それを遥かに超えるような多額の課金をして、あまつさえ「欲しいアイテムが手に入らない」とは何事か?
 聞くだけで虫唾が走るし、正直イラっとする。

 で、僕は言うのである。「返金してもらいなさい」

 1万超えたら遊びではない。返金は当然求められる。8日以内ならクーリングオフが有効だ。
 10万以上なら民事訴訟も辞さない覚悟で挑めば良い。やる気があれば確実に全額取り返せる。

 ところが、友達の返事はというと、「いや、運がないだけだから…」
 それで泣き寝入りして終わってしまう。

 何で?

 僕には全く理解できない話だったので、よくよく話を聞いてみることにした。
 グランブルーファンタジーというゲームが売れているらしいので、自分でもやってみることにした。
 当然、金などかける気は一切ない。こんなゲームにまじになっちゃってどうするの。

 すると、若者がソーシャルゲームに搾取されてしまう、その仕組みが良く分かったのである。

「ゲームバランスが極めて悪く課金を前提としている」

 最初は簡単にクリアできる。1分もかからずボタンを押すだけで敵をボコボコにできる。
 昔のゲームより遥かに難易度が低い。小学生レベルの難易度から始まる。

 少しゲームを進めると、無料でそれなりに良さそうなアイテムがもらえる。
 強そうなキャラクターも手に入る。
 レベルも上がるし何だか良い気持ちになってゲームをぽんぽん進めてしまう。

 …ここまでを意図的にやっている。
 私はゲームクリエイターを志望していた時期もあった。
 どういう意図でどういう数値を設定しているのか、それが分かる程度にはゲームを研究している。

 ゲームが死ぬほど苦手な人でもない限り、「序盤で苦労することはまずない」。
 このことを最初にしっかり植え付けておくことがポイントだ。

 いくつかステージを進むと、ソーシャルゲームはいきなり「毒牙を向いてくる」。
 明らか今のHPでは耐えられない「一撃必殺級の技」をブン回してくる。
 1980年代のファミコンゲームに慣れている人なら大したものではないが、2016年の今をときめく子供たちはとんでもない精神的ダメージを負うだろう。

 そして言うのである。「回復アイテムを使えば全員復活できます」
 これで子供たちは何のためらいもなく100円の回復アイテムをぶち込むことができる。

 ゲームが終わってトップページに戻ると、「ガチャポンで強力な装備を手に入れよう!」とか、可愛い女の子がギリギリの露出度で誘惑しているキャンペーン広告がズラっと並べられている。
 これらの課金アイテムを使えば、先ほどの一撃で殺してくるクソバランスの敵でも、ボタン連打するだけで簡単に圧倒できてしまう。

 ゲームによって課金の度合いは変わるだろうが、概ねこのようなバランスでソーシャルゲームは成り立っている。
 バランスもそうだし女の子のイラストや有名声優を使ったプレイヤーの誘惑にも余念がない。可愛い子が欲しければカネを出せ。見事な商法だと関心するし、呆れる。

「一応アイテムが手に入る、という贖罪」

 ガチャポンを回すと、97%くらいはハズレのどうでもいいアイテムが出てくる。
 これらは強化素材として使うことができるので、完全に無駄というわけではない。
 そのことがプレイヤーに「騙されている」という気持ちを起こさせない抑止力として機能している。

 実際、ゲームの中で真面目に使うことができる有用なアイテムは3%程度の確率で出てくる。
 SSRとかそういう良さそうなレアリティをしている。

 ガチャポンの価格は1回300円である。これは極めて高いと思う。 
 ただのデジタルデータ買うために300円とか私に言わせれば馬鹿馬鹿しいぼったくり課金だと思うのだが、若者たちにはそういう気持ちはないと思う。

「隠蔽される、本当の課金額」

 先に、SSRは3%の確率で出てくると書いた。
 ガチャポン1回は300円である。
 では、何でもいいからSSRを引きたい場合、いくらお金がかかるのか?

 ここで、高校数学の知識が必要になる。具体的には確率。
 確率のことを「確立」と書くような人はその時点で騙されると思った方がいい。

 3%の確率でSSRが出てくるとき、何か1枚SSRを引くために必要な期待値、即ちガチャを引くだろう回数は、100% ÷ 3% = 33.333…回である。
 総確率は100%だから、それを実際の確率で割れば、期待値が出てくることになる。
 ガチャポンは1回300円だから、何か1枚SSRを引くために必要な期待金額は、300円 × 33.333…回 ≒ 10000円となる。

 つまりSSR1枚引くのに1万円もかかるってことです。
 こう書くと高そうに見えませんか? 少なくとも僕はやりませんね。

 真面目に勉強やって確率くらい解けますよって人はガチャなんか手を出さないと思いますが。
 数学が苦手な人はこういう問題が解けないせいで、あっさり騙されてしまうというわけです。
 学校のお勉強は遊びでやってるわけじゃないんですね。

「特定の欲しいカードが出ないのは何故か?」

 それでも1万円出せばSSRは出る。
 僕はお金があるから、たくさん投資してアイテムを手に入れるんだ! という方もいるでしょう。
 ゲーム内ではガチャポンの確率が上がるキャンペーンもあります。
 そうやって出やすくなるんだから、お金をかけ続ければ、絶対出るはずだ! そうお考えになる人がいるかもしれません。

 なまじお金があるぶん、20歳すぎたくらいの大人ほど、危険だと言えます。

 最初の話題に戻りましょう。僕の友達は、「(特定の)欲しいカードが出ない!」と嘆いていました。
 それが出なかったのは、「運がなかったからだ…」つまり、「SSRは出たけど、それが目当ての1種類ではなかった」ということが、がっくりした理由だと言うことが分かります。
 他のSSRは出ているわけだから、返金要求するのも気が引ける…そういう気持ちがあるのでしょうね。

 だがちょっと待ってほしい。その欲しいカード、「本当に出るのか」?

 グラブルでは1週間で80万円をつぎ込んでアンチラが出なかった人もいて、返石騒動が起こりました。返金ではなく返石、つまり同等のガチャを引ける権利を返した。
 企業対応としてはどうかと思いますがね。

 何でそんなことになるのか。多くのユーザーからの圧力があり、確率が公開されました。
 これを見てください。



 画像はグランブルーファンタジーの画面をキャプチャーしたものです。
 これが各アイテムごとの実際の出現確率となります。
 出現率UPとなっているのは、その時のキャンペーンによって「出やすくなっている」ことを示します。

 これだけ見ると、確率が小さいのはわかりますが、じゃあ欲しいのが手に入るのにどれだけの投資が必要だと推定されるのか、までは分かりにくい。
 「分かりにくい」というところに問題がありますね。実際に計算しましょう。

 例えば有名な強くて可愛い召喚石、ジ・オーダー・グランデちゃんが欲しい!としましょう。
 ジ・オーダー・グランデを引く確率は0.009%です。
 ガチャポン1回300円です。さっきと同じ要領で計算すると…

 ガチャを引くだろう回数
 100% ÷ 0.009% = 11111.111…回

 ジ・オーダー・グランデを引くために必要な期待金額
 300円 × 11111.111…回 ≒ 3333333円


 (´・ω・`) …


 (^ω^) …


 (´゚д゚`) はうぁッ!


 333万円だと!?
 馬鹿な、ありえんッ!

 もちろん確率はその時のキャンペーンによって前後するわけですが、「マトモにやってたらまず欲しいアイテムを引くことは無い」ということは十二分に伝わるかと思います。
 現在ではさすがにヤバいと思ったのか、「300回ガチャを引いたら決められたアイテムと引き替えます」という条項がつけられました。
 ですが、それでもアイテム1つに9万円も課金しろと言うのはゲーム会社としてあるまじき態度だと言わざるを得ないですね。

「ゲーム企業から倫理が失われ、詐欺まがいの商売が横行している」

 上に書いたような「有り得ない確率」をユーザーに押し付けて、ソーシャルゲーム業界は多額の利益を得ているわけですが。
 私はこうしたゲーム会社の「失われた倫理」に非常に危機感を覚えています。
 正直な話、詐欺罪で訴えられても文句を言えない領域まで来てるわけですよ。

 本当に大丈夫? 逮捕されても知らないよ?

 繰り返すようですが、僕が子供の時には1万円も払えばゲームを全て遊ぶことができた。
 お金のかかるアーケードゲームをやっていても、月に5万円を超えることはそうそうないし、対戦をしたり友達とわいわい遊べる場をもらってるわけだから、ガチャポンのように無駄なお金を使ってるわけじゃありません。

 一体どうしてゲーム業界はこんなに悪くなってしまったのか?
 そう僕は嘆いています。

 子供たちを騙してまで企業の利益を追求するのは、止めてほしいと思う。

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